新宿OZONEでのTEIBANTENを終えて。
先週、9日~12日までの4日間
新宿OZENEの1Fアトリウムのスペースを借りて
「TEIBANTEN」という「滋賀」「三重」「奈良」の3県のモノづくりをしている事業所が集まりそれぞれがお店のような空間をつくり、そこに集まってくれた参加者の方とモノづくりを通じてコミュニケーションをとるといった企画展を開催していました。
地方が抱える問題
地方では「過疎化」「つくり手の高齢化」「後継者不足」「地方の大型ショッピングモールの進出による売り上げ減少」「ファストファッションの流行による消費の変化」など様々な問題や課題を抱えています。
そんな問題を解決する手段としてそれぞれの事業者自らがこの取り組みを通して切磋琢磨しながら学び顧客との関係をつくる実践の場としてそれぞれが課題を持って取り組みに参加しました。
最近では、ようやく「モノ」から「こと」に関心が向けられるようになり地方のモノづくりや伝統などに興味を持つひとが増えてきましたがそれだけでは事業を継続していくのは難しいのが現状です。
もちろんつくり手も「時代の変化」や「ライフスタイル」の変化を無視して、モノをつくり続けるだけではいつか飽きられてしまいます。
とても難しい課題ですがそれぞれつくり手の想いや、今回のような取り組みをより多くの方に知ってもらうことがとても大切だと改めて実感しました。
滋賀県の革工房として
今回、僕たちBLINK LEATHER WORKSは滋賀県の事業所としてこの取り組みに参加し
革製品を展示しました。
ちょうど一年前にこの取り組みのことを知って約一年間、取り組みに参加する仲間と勉強してきて当日を迎えました。
シザーケースのづくりとこれまでの歩み
僕は革製品を製作する前は美容師でした。
美容師として9年間過ごしたあと、これからのことを考えた時この経験を活かして製品づくりをしたいと思ったのがきっかけです。
振り返れば僕は、小さい頃から道具に興味があり美容師に憧れを持ったのもハサミ(道具)を自在に操る姿が美しくみえたからかもしれません。
そして僕が美容師をしていて色ん道具の中で唯一、満足のいく道具に出会うことが出来なかったモノそれが「シザーケース」でした。
たくさん種類の種類の中から、好みのデザインのものを購入しては何かしっくり来なくて
何度も買い替えていました。
結局は「見た目」よりも「使い勝手」の良いものをと長年使い続けてきた年季の入ったシザーケースを使っていました。
革工房でオーダーメードのシザーケースをお願いして製作してもらったこともありましたが
自分の「理想」をうまく伝えることができず結局、数回使っただけという経験もあります。
そんな経験があったから、同じような悩みを持った美容師が他にもきっといるはず!
そう思ってそこからは手探りでシザーケースづくりの日々が始まったのを覚えています。
ポーチやキーホルダーのようなモノからつくりはじめるのが一般的かもしれませんが
僕は「自分自身が本当に愛せるシザーケースをつくりたい!」といった目標があったので
もちろん「シザーケースづくり」からはじめました。笑
当然ですが納得のいくものなんてできるはずもなく
革工房で革製品製作の基本を学ぶことにしました。
そして様々な革素材に興味を持った僕は、革材料店で働き様々な革素材や道具があることを知り改めてシザーケースづくりを再開することにしたのです。
美容師という職をはなれシザーケースづくりと向き合ってきた6年間でした。
今ではなんの仕事をしてる人ですか?と聞かれれば「美容師さんのハサミを入れるシザーケースをつくってます。」と答えるまでになりました。
TEIBANTENで得たもの
はなしが長くなってしまいましたが、今回のTEIBANTENという取り組みに参加するにあたり
会場は一般の方が訪れる商業施設ということもありシザーケース以外の新たな製品をつくらないといけないという考えでOLの方が通勤で使うことを想定した「トートバッグ」を製作して展示することに決めました。
そしてBLINK LEATHER WORKSの原点であるシザーケースもブースに並べ、訪れた方からどのような反応が得られるのか楽しみにしていました。
もちろん今回のメインは展示のために製作したトートバッグでした。
今回の4日間を通してそれなりにトートバッグに興味を持ってくださる方もいてホッとしましたが、これまでの歩みを知ってもらうという意味合いで展示していた「シザーケース」に多くの方からの反応をいただけたことに驚きました。
「私は美容師じゃないけど欲しくなってしまいます」とか「こんな感じのポーチがあったら欲しい」とか「友達の美容師にプレゼントしたい」とか
なんだか新たなものをつくって人の興味を引こうと思っていた僕が恥ずかしくなるような感じがして
でも、今までずっと向き合ってきた「シザーケースづくり」を美容師以外の人にも認めてもらえたような。。
そんな今のBLINK LEATHER WORKSを知ることができたとても学びのある4日間でした。
今年も一年間しっかりと学び、来年のTEIBANTENではより成長したBLINK LEATHER WORKSをみせられるよう頑張ります。
そして僕たちの「シザーケース」が必要とされている方のもとにしっかり届けられるように大切に育てていきます。
BLINK LEATHER WORKS 田中